街角のカフェ

五月の晴れの夕方は心地よい。雲の間から見え隠れする陽も少し傾き始め、ペンを握る指の影をノートに落としている。ハルとの散歩で時々立ち寄るカフェがある。一緒に中まで入れる店はまだ見かけない。ここは、大通り沿いの歩道の内側にレンガ張りの駐車場があって、その奥に屋根つきの屋外テラスを設けたカフェレストランが建っている。テラスには、スチール製の丸いテーブルと椅子が配置され、そこが我々の定席だ。道路の成り立ちの歴史か、日本の町ではこのような配置にゆとりのあるスペースを持った店はまだまだ少ないが、ここはパーキング・スペースを逆手に取りうまく利用しており、一番のお気に入りだ。おまけに、店のスタッフの方たちが「ハルちゃん、よく来たね」といつも可愛がってくれる。そのせいか、ここを通りかかると必ずリードを引っ張って入りたがるのだ。

一杯飲む間、(今しばらくはコーヒーで我慢)ハルはテーブルの下でじっと座って、周りの景色を眺めている。歩道沿いの樹木の間から見える道行く人や車の動く姿を見るのが好きなのだ。駐車場の加減で少し奥まっているので、車の騒音や通行人の話し声も小さく、バックグラウンド・ミュージック程度で、都会の生活の一コマを感じさせる。ひとしきりすると、ハルが上を向いて「フン、フン」とささやいた。景色に飽いたか、おなかがすいたか。   そろそろ帰ろうか。尻尾を振って「じゃ、また来るね」。

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google フォト

Google アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中