小さなチョコレート屋さん

浄水の自然公園に行く道筋に、小さなチョコレート屋さんがある。二階建ての建物の一部が平屋建てになっており、そこがちょうど通りの角に面して、丸いかわいい寄棟状の屋根をかぶせている。そして、店の前に植えられた樹木が大きく伸び、その陰に一見目立たなくおしゃれに建っている。ちょうど通りの交叉点の位置にあるので、ハルとの散歩の途中には必ず立ち止まって見えるのだ。通りに面して喫茶コーナーがある。ここのチョコレートのおいしい味は知っているが、店の中にまだ入ったことはない。とにかく、建ってから長く、小柄ながらも町のシンボル的な存在である。ふだん見慣れている家々の屋根が視線を見上げる位置にあるせいか、この店の屋根ラインは目線にありとても親しみ深く、ホッと一息つける風景である。都市が大きくなるにつれ、町中には大型化、高層化の建物が増えてきている。住宅なんかも、大きく、広くが一つのテーマになっているようだ。

そんな中で、この建物がトイハウスを暗示するかのように、こじんまりと通りの一隅に存在するのはありがたい。チョコレートという甘い香りのひびきも伴って。この草稿を時折のカフェテラスで一杯飲みながら書いていた。ハルもちょっと長くかかると思ったのか、テーブル横のレンガの床にしゃがみ込んでいる。偶然だが、店のスタッフさんが「チョコレートお好きですか」と、小さなケーキを差し入れてくれた。まるで、的を得たかのように。もちろん、人間にだが。ハルがぼくの手に鼻をくっつけてきた。

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