カラスとの対話

犬の五感は人間とはかなり違うらしい。中でも、嗅覚と聴覚は抜群のようだ。確かに、どこに行くにしろ鼻でクンクンと嗅いで好・嫌(善・悪)を判断するし、散歩していて「カタッ」と音がすると耳をぴくっと立ててすくむ。色の区別があまりつかないのは以前から聞いていたが、つい最近まで視覚(視力)も並はずれているのかと思っていた。ハルは散歩をしていて、時々急に立ち止まることがある。どうしたのかなと周りを見廻しても、何も変わった様子はない。でも、よく見渡すと通りのはるか向こうに(百メートル以上はあるだろう)、飼い犬らしきを連れた人の姿が見えるのだ。最初は立ち止まっているだけだったハルだが、彼ら(彼女ら)が近づいてくるにつれ通りにしゃがみ込んでしまった。前足を前に出し、顔を乗せて待機態勢である。こうなったらてこでも動かない。距離が十~十五メートルくらいになると、尻尾を振って立ち上がるか、「ワン」と一声吠えるのかどちらかである。もちろん、知り合いの犬なら喜んで嗅ぎ合うか、未知の犬ならば初めての挨拶(けん制?の声)かもしれない。

通りに全くそれらしきものが見えないのに立ち止まることもある。「ハル、どうしたの、何もいないよ」と言っても、動かない。目先を見ると、斜め上を見上げている。こちらも目を上げると、近くの電線に、黒いカラスの姿を見つけた。「クワッ、クワッ」と我々をからかっているようにも見える。ハルといっしょに「シー、シー」と言ってもなかなか飛び立たない。いまどきは、ちょっと投げて追い払う小石も近くに見当たらない。飛ぶものには勝てないねと、二人で歩き出した。

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