ハルの遁走

今朝は大変だった。ハルがいなくなったのだ。上の娘が仕事に出掛けた後、ヨメサンが外出の用意を始めた。ハルにとっては、我が家の順位は上の娘、ヨメサン、小生、下の娘らしい。何せ、ハルの一日二回の散歩をはじめ、朝夕の食事、用足しの世話はほとんど全てやっている自分だが、なぜか三位である。上の娘は仕事から帰宅した後にハルを抱くだけだが、なぜか一位である。まあ、それは良いとしても、ヨメサンの二位はいかがなものか。居眠りの好きなハルのそばでいつもくつろいでいる彼女が出かけるしぐさを見せるとハルがそわそわし始める。事件はその後発生した。いつも通りハルの世話を終えて、「アトリエに行くからね」とハルに呼びかけても、いつもの場所に姿が見えない。バルコニー、居間の机の下、食堂、ベッドの上と普段いそうな所には姿が見当たらない。もしかして、と、階下の玄関に行ってみた。ドアが開いている。我が家の玄関ドアは木製の大きな引き戸である。ハルの鼻の力で開けられるのだ。しまった、ヨメサンの後追いをしたなと思い、急いで駐車場の門扉の場所まで降りてみた。

すると、前の市道の十メートル程先で、ちょこんと座っているではないか。「ハル、おいで」と声をかけても、知らん顔だ。おやつを持ってきても、用心をしてなかなか近づこうとしない。家にいたので首輪もつけておらず、わが方は少々狼狽した。こんな時こそ、じっと待つのに限るのだが、生来の自己性格が反映してか「ハル、危ないよ」、「一人だとご飯に困るよ」、「後で散歩に連れて行くからね」ト呼びかけても尻尾を振り振り、ダメ。見合いが続いて二十分ぐらい経ったか、ハルがしぶしぶ寄ってきた。もう、そろそろいいかなと、思ったのかもしれない。家に連れ帰ってもなかなか玄関から離れなかった。さっきの言葉を覚えていたかな。仕方なく、セミの声の鳴く暑さの中を、異例の時間の散歩となった。「ハル、その代り途中で一杯飲むのを許してね」。

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