キューピーの忘れもの

家の近くの通りのバス停続きに整備された公園がある。歩道のそばには樹木の足元に囲まれたベンチがあり、通学生徒がよく腰を下ろしてバスを待っている。そして、その奥に、日中はベビーカーを引いたお母さんに連れられた幼児たちでにぎわうこじんまりした小公園が控えている。この公園には、木々に囲まれて小さな滑り台と子馬乗りが二台置かれており、後は土の空間だけのシンプルな遊び場である。時々、ボランティアらしきお母さんたちが周囲の木々の落ち葉の清掃をしていただいているおかげか、利用する人たちのマナーが良いせいか、ごみらしきものはほとんど見かけたことはない。ハルは毎日早朝、まず第一にこの公園を散歩するので、風景はある程度熟知している。一週間ほど前から、公園の中に二十センチくらいの小さなキューピー人形が一体目についた。その昔の自分の小さいころからある、あのプラスチック製の人形だ。ハルも最初はにおいをかいでいたがそのうち振り向かなくなった。今朝は小岩の上に置かれていた。

日によって、人形の置かれている位置が違うので、子供たちがそれで遊んでいるのだろうか。それにしても、人形はだれのものだろう。形からして、一、二歳の女の子のものか、三、四歳になると自分の忘れものに気が付くだろう。そういえば、子供たちが遊ぶ他の公園の砂場には、砂いじりの道具や小さなボールが転がっていた。最初はだれかの忘れ物だろうが、そのうち子供たちの共用の遊具になったのであろう。心を宿すともいわれる人形のことだけに、ことこの風景だけは、妙にその後も気になっている。かわいがられておくれ。

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