樹木のぬくもり

寒空の中の木々の姿は、葉をおい茂らせた季節の姿と変わり、躯体をはっきり見せる。幹から枝へほっそりとすっきりしたもの、見事に均整がとれてうっとりするもの、曲がりくねってよじれた形のもの、いろいろであり、木の性格をよく表わしていると思う。冬でも多少葉をつけている常緑樹と違い、落葉樹は全くの裸である。寒風の中で枝を揺らせながら立ちすくむのを見れば、凍えるのではないかと思い、しとしとと降る雨の下の木は冷たくないのかなといとおしくも思える。木々たちは、本当はどうかなと手で触ってみた。表面上はざらざらと見える幹も、肌触りは柔らかく温かみを感じるのだ。「どの木でもそうなのかな」と、公園や通りのあちこちに植えられてある太い幹や細い木などに、立ち止まって触ってみた。いつもの散歩とは逆に、ハルが今日は自分に付き合ってじっと待っていてくれている。表面が温かいのは、中に水分を含んでいるためであろうか、風に擦られるのかごつごつと乙面に見える幹の皮の表面は意外と滑らかで、外部の表情から感じ取れるものとはずいぶん違うようだ。こうやって、冬を越し、春を迎えるのであろう。傍に立つ無愛想なコンクリートの電柱や、信号灯の鉄柱の冷たさとは大違いである。

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