おねだり上手

ハルはおねだり上手である。わが家族の中で一番ハルの世話を焼き、また一番甘やかしているのは僕だとちゃんとわかっているようだ。それはまず早朝から始まる。概して犬は習慣づけると慣れやすいようではあるが、ハルは時間に極めてパンクチュアルである。朝の散歩の役目でもある僕が少し起きるのが遅くなっていると「ワン、ワン」と上階の居間から吠えて、サインをよこす。朝の散歩の時間だよという合図だ。ハルをひとりで寝かせるため、居間から下階へ降りる階段に開閉式の柵をしているが(たまに、嫌がらせのためか、違った場所でおしっこをするので)時々柵が開いていたりすると、わが部屋に降りてきて尻尾を振り振り鼻を押し付けて、朝の挨拶をしてくる。普段は柵の前で寝そべって、間から鼻を突き出し「まだかい?」というしぐさをしている。上がっていくと、背伸びをして「ウォ・オーン」と出迎えてくれる。「おはよう」とあいさつをして頭と頬を撫でてやるのが日課だ。

散歩から帰ると、今度は朝ごはんだ。散歩の後少しでも他の用事をしていると、階段のそばまで来て催促する。僕が朝ごはん担当だと思っているらしい。ハルは自分の朝食を終えても、そのあと僕が用意する僕用のパン焼きの音をじっと聞いていて、チンと言って焼きあがると、大好物のパンのお相伴にあずかろうときちんと両足をそろえて座って待っている。そして、僕が食べ始めて知らん顔をしていると、少しずつにじり寄ってくるのだ。無事朝ごはん及びお相伴にありついた後はおもむろに歩き出し、安心したのか居間やバルコニーの適所で目を細めて横になるのが日々である。

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