お客さん

「ピン・ポーン」とインタフォーンが鳴ると、日頃はおとなしいハルが「ワンワン」と吠え出す。それが宅急便の配達の人であろうと、お客さんであろうと、業者さんであろうとだ。わが家人が玄関戸を開けてもたまにある。声の質は違うようだが。普段くつろいでいる居間から階段越しに、階下の玄関をのぞき込み、来訪者がまず誰であるかを確認するのだ。そして、それが覚えのあるヨメサンの友人などであれば、タッタッと降りて行って歓迎の尻尾を振るし、初めてや身知らぬ人の時は「ハル!静かにしなさい」というまで吠え続けるのだ。猟犬の血筋が入っているからかもしれない。僕に用事ある業者さんの場合、すぐに玄関横のアトリエに通し、ドアを閉めてしまうと静かになるのだが家に用事があって上階に人の場合は、しばらく吠え続ける。ハルにとって、縄張りの侵入者が危険性があるかどうか確かめているようだ。

最近から、僕にお客さんとか業者さんとかが来たとき、ハルにリードを付け居間の大テーブルで打ち合わせ等をすることにした。そんな時は、僕のそばでおとなしくしている。建築家コルビュジェの愛犬ミケランジェロのようでもある。ヨメサンの友達とかが来たときは、これは長居するなと思うのか、最初は向って吠えているのだが、そのうち知らん顔をしてバルコニーに消えたりしている。でも、大勢の客が来たときは大変だ。ワイワイ、ガヤガヤの中で自分がいるぞと主張してやまない。吠え方もいろいろだ。時には、歓迎の風であったり、諭すようであったり、対峙のようでもある。一つおねだりの時の声だけはすぐわかる。「フウーン、フウーン」とまさに甘える声なのである。

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