ハルも九才になった。人間でいえば中年に差し掛かる頃だろうか。最近は散歩で出会うワンちゃん仲間でも年上の方になってきたようだ。そういえば、我が家の廻りでも高層マンションが増え、人口密度が上がってきているせいか、犬連れの人たちも結構増えてきたようである。この頃は、幼馴染の犬に出会っても以前ほどはしゃがない。「若い時はあんなにじゃれあっていたのにねえー」とは、飼い主同士の会話だ。やはり低年齢ほど(二~三才位)遊ぼうというしぐさはかわいい。この辺りは小型犬(トイ・プードル、シュナウザーやマメシバなど)を飼っている人が多いため、中型犬のハルに初めて出会ったとき、大きな犬に出会ったように思うのか、ハルが静かに相手の犬の鼻をかごうと近づくのを見て、「おとなしいですね」と、言ってくれる。そんな時返事は、相手により「ハイ」か「相手の犬によるのですよ」など、さまざまである。
いずれにしても、ハルは概して控えめの方ではあるが、これが大型犬を目にすると、俄然目つきを変えて突進していこうとする。「ハル、やめとき、かなわないよ」となだめ、叱り、諭すのにひと苦労である。年齢のいった相手の大型犬の方は、「また、小さいのに元気がいいな」くらいな顔をして、悠然と通り過ぎてゆく。犬の性質は、飼い主の性格にもよるのかもしれない。どんな犬にも愛想の良い飼い主もいれば、我が犬だけの飼い主も見かけられる。まあ、僕も犬を飼ってから、会話をしない相手の事も少しはわかってきたのかも知れないが。
