J大通りから入った幅4mの小道、通る車もほとんどない静かな住宅地区、ハルはこんな場所を散歩するのが好きなようである。そんな通りの一角に時折訪れる小さな公園がある。公園といっても、5~60㎡程度もあろうか、真ん中に小さな滑り台があり、三人掛けの木製ベンチがⅬの字に二台置かれただけのこじんまりしたミニ公園が大型マンションの駐車場敷地のそばに存在している。滑り台の周りは土の状態であるが、周囲は芝生が髭のように伸びており、芝生が先か、土が先かは定かではないけれども、土の状態から緑へのそのあいまいな移り変わりが美的である。ほとんど手入れ不要の公園なのだ。そして、ほとんどあまり利用していないのであろうか、木製のベンチには、背後から座った時肩にもたれかかるかのようにピンクの小さな花をつけた名も知れぬ雑木の枝が覆いかぶさり、朝日の輝きを浴びて座る人に至福の安らぎを与えるかのように見える。背丈ほどの雑木に囲まれたこのミニ空間の周りは静けさだけに包まれていた。
普段は、週末の朝しか訪れないこの場所に、あるウィーク・デイの夕方近く散歩コースを迂回して立ち寄ってみた。すると、このミニスペースが台車に乗せられて遊びに来た保育園の幼児たちでにぎやかではないか。ベンチ以外これと言って何もないこの自然的なスペースが子供たちにとっての憩いの場所だなんて、想像もしていなかった。年配にも、小さな子たちにもコミュニティの一角にこのような小さな安らぐ場があることは日常の生活の中でほっとさせるものである。天気の良い週末の朝の散歩の帰路には、この場所に立ち寄るのを楽しみにしている。
