お帰りなさい

二か月半余りの腰の骨折手術、リハビリの入院生活を終えてヨメサンが元気に戻ってきた。彼女がこんなに長く留守にしたのは久しぶりだ。ハルは果たしてどのように行動するだろうか。思えば、ハルがまだ1歳で小さなパピーだった頃、三か月のフランス滞在を終えヨメサンが帰国すると、ハルは跳ね、飛び上がり抱きついたものだった。それはまるで以前見た映画の一シーンのようであった。九歳を過ぎた今度はどうするだろう。大きな体で飛びついて、相手に尻もちでもつかせないといいのだが。

玄関に我々が戻ってくるとハルの気忙しい足音が聞こえた。例によって、留守にするときは上階の居間の入り口に柵をしている。その柵の向こうで尻尾を大きく振り、鼻を突き出して目を見据えているではないか。居間に入ると、うれしさを抑えきれないのか、突然「フユッ」と叫んで駆け出し、顔面を振り振り弾みをつけて戻ってきた。耳は気持ちいい時の特徴である後ろに倒れ、体は伸びきっている。ヨメサンに近づくと、尻尾を左右に大きく振り、差し出した手を確認するようにかぎ、なめ始めた。そして、何回か行ったり来たりを繰り返し、感情を抑えるかのようなしぐさと鳴き声をする。

ハルの楽しくてたまらない様子がこちらにも手に取るように分かる。大人になったからか、ヨメサンの体を思ってなのか、それなりの喜びを表現する気づかい屋のハルを見て僕もうれしくなった。

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