変わらないもの

改装のためか、しばらくの間覆っていたF学園のカトリック司教館の養生シートがいつの間にか外されていた。ここは、ハルの散歩コースで時々通りかかる道筋の一つにある。新しくなった司教館の外観を見てややホッとした。そこには、五十数年前の姿がそのままにあったからである。大学三年の時、絵の指導に当たられた画家のアトリエがF学園の近くにあったせいか、建物のデッサンスケッチを片手に時々おじゃました思い出がある。その時のスケッチ対象の一つがこの司教館なのだ。今から見ると、特段の特徴もない、白いペンキを塗った西洋風の横目板張りの建物なのだが、当時の自分には新鮮に見えたものである。多分、現在も住居用の施設として使われているのだろう。とすれば、五十年以上経過した今、内装は大幅にやりかえたのだろうか、などと想像しながらも、外装は元のままを維持しているのだ。当時からあるアプローチに植えられたクスの大木が五十年を経て一段と伸びたせいか、建物が少し背景に隠れて見えるが。

周りにある学園の他の施設はすっかり新しく変わってしまったが、この建物だけは当時の雰囲気を残している。宗教的な建物や公共的、記念的な建物が、保存運動ブームの中で少しずつ残っていく中で、この単なるプライベートな住居らしき建物が以前の風景のままに存在していることに意義を見出すのは自分だけであろうか。

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